ISO14001は監査や審査の基準として組織がしっかりとした環境マネジメントシステムを持っているということを証明することに使われることを意図していると考えられます。環境マネジメントシステムをしっかり持っているということを証明することで組織の環境管理に対する姿勢を環境管理に関する活動に興味を持っている関係者に客観的に認識してもらうことが出来ます。また、取引先にISO14001の取得を契約の際に求められるかもしれません。実際、国内において一部の企業が供給元の企業に対しISO14001の認証を求めることを公表しています。
次回のISO14001の改定においても、組織のマネジメントシステムの構築や連用を行ううえで補助となるよう、要求事項の内容や表現についてISO9001の規格と似たものにしようという動きが今回の改定同様になされると考えられます。しかし、今後ますます地球規模の環境問題への取り組みの強化や、企業などの組織の社会への責任が問われ企業の社会的責任という側面にISO14001が強く影響されると予想できます。
2004年にISO14001は規格の改定が行われましたが、1996年に発行された規格の要求事項の無いように基本的に大きな変更はありませんでした。ISO規格の見直しは、大抵5年おきに行われます。当面は審査に大きな変化をもたらすことはないでしょう。しかし、環境マネジメントシステムの構築や運用を経験した組織や関係者が今後ISO14001に何を求めるかによって本格的に変更される可能性はあると思います。
ISO14001:2004年版が発行になってから6ヶ月間は新旧どちらの版で審査を受けても構いません。ただし、組織は審査登録機関にどちらの版で審査を受けるか、あらかじめ告げておく必要があります。その後の1年間、つまり新版発行後7ヶ月目から新版発行後18ヶ月経過までの間は新版で審査を受けることになっています。しかし、要求事項の解釈に変化が出た部分において組織のシステムが満たしていないと審査員に指摘された場合は不適合という扱いにはされません。
改定にあたり「1996年に発行された規格のここが悪いから改定しよう」というような明確な点はなく、従来から求められていた「ISO9001との両立性向上」、「要求事項の明確化」を目的として改定作業がはじまりました。しかし、改定作業の中でISO14001認証の価値を高めるために「環境マネジメントシステムの範囲」、「環境側面の特定」、「法規制及びその他の要求事項の順守」、「環境事故対応」について特に注意が払われました。また、「要求事項の明確化」によって解釈の幅が狭くなったと言えるでしょう。
ISO14001は環境マネジメントシステムの認証に用いる基準を規定した規格です。一方、ISO9001は品質マネジメントシステムの認証に用いる基準を規定した規格です。両方とも組織の経営運営に関わる仕組みや活動に関して規定しています。しかし、ISO9001の方は製品やサービスの品質保証のための規格であるので個別の要求事項の実現に関する規定などが加えられ品質の安定が求められています。また、ISO9001は本来第二者監査と呼ばれる「買手が売手をチェックすること」を第三者の審査機関が行えるように審査基準を共通化して規格にしたものですが、ISO14001は第二者監査の肩代りというよりは不特定多数の利害関係者に代わっての監査のようになっています。
現在、ISO14001の認証を取得した企業は環境報告書を発行している例が非常に多いと考えられます。ですから、その環境報告書の中から具体的な環境負荷の低減についてのパフォーマンスが確認できるのではないでしょうか。また、認証取得企業は環境目的・目標を立ててその達成を図っており、審査登録機関はその結果を審査の際に参照しています。認証取得後も審査は毎年行われます。認証取得後もパフォーマンスは向上していくと考えてよろしいと思われます。
認証取得の最大の目的は、取得したという事実を対外的にアピールできることにあると思われます。それ以外のメリットは基本的には付随的なものになるといえるでしょう。さらに公表する相手が、認証取得を取引条件に入れている企業などの組織であれば、その時はパスポート的なものと考えられるでしょう。しかし、相手から求められていなくとも、自ら不特定多数の相手に認証を取得したことをアピールできると考えられます。
具体的にどの環境パフォーマンスを対象とするかは取引先によって異なると思います。またどのようにパフォーマンスを計るのかもまちまちで非常に難しいと考えられます。現在の状況の中で、環境に対するパフォーマンスをベースに取引相手を選定するという方法が一般に普及するかどうかは不明であると思われます。逆に、環境パフォーマンスで取引先を選定することが困難であったためにISO14001のようなマネジメントシステムができたのではないでしょうか。しかし、環境負荷の低い製品を購入するという動きは今後もたかまっていくと考えられます。
地球環境問題への対応として、企業などの団体組織が自主行動計画という対応計画をだし、結果としてISO14001に関わりを持つようになったこと、経済産業省や環境省がISO14001の関与を支持したことによりマスコミがISO14001のことを取りあげるようになった結果、現在の「企業の環境問題対策=ISO14001認証取得」というカタチになったのだと思います。大企業の多くは現在すでに認証しており、改定後も内容は大きく変わっていないため、今後もしばらくはこの状況は続くと考えられます。
管理レベルをあげる一方で、ISO14001の中のコミュニケーション部分を利用して、組織内外のより広い対象についてコミュニケーションを実施するなど業務効果・効率の向上の工夫が重要であると考えられます。あるいは、従業員に基本または共通の認識として知っておいてもらいたいことを規定や手順として文書化し繰り返しをなくすなど、ミスの発生防止など環境以外の活動においても行う方法が考えられます。様々な工夫をこらすことで経営者が、将来の事業活動についての計画に割く時間を増やすことが出来るかもしれません。
多くの場合、マネジメントシステムを新しく導入することは管理レベルを大きく上げてしまうことになり、特に維持の面で強化されます。その維持の面で大きく関わるのは「文書化」及び「文書管理」です。この部分がおそらく中小企業の弱いところで、仕組みを効率的にしないと後でコストの面で大きな負荷となるシステムとなってしまいます。具体的な対応として、認証取得している中小企業の中から、特に上手に行っている企業を参考にするとか、評判のよいコンサルタントを利用するなど工夫するのがよいと考えられます。
ISO14001の要求事項の中には、具体的に項目を指定して環境負荷の低減を規定したものはありません。しかし、例えば、環境負荷を低減させる工程の採用をする検討を期待されています。つまり、企業などの組織が公表しないかぎり確実に負荷低減になる項目を外部からしることは不可能です。ISO14001の要求事項とは必ずしも関係はありませんが、現在は多くの企業が環境報告書を公表しており、その中で環境負荷の低減を公表しているので、環境報告書を見て確認するのがよいと思います。
ISO14001の認証をとった企業の活動そのものの環境負荷はまちまちです。しかし、コミュニケーションを通じて、例えば環境負荷の小さい供給物の購入を優先させるようなことは実施可能であると考えられます。ISO14001認証取得企業が相互に関係をもって全体として環境負荷を下げることにより、どの企業もISO14001の効果を示すことができるのではないのでしょうか。 消費者に対するISO14001の効果 購入者の行動を企業が完全に支配することは事実上不可能であると考えられます。しかし、説明書の配布やマークの貼付などを依頼したり、注意を消費者に訴えかけることは可能であると考えられます。また、企業内で働く人が職場における環境配慮を慣行し、個人としての行動に反映されるようになると、社会全体としての行動も変わるのではないでしょうか。
ISO14001の認証に際して、導入企業の環境対策が万全であることが絶対に必要な条件としてあるわけではありません。なぜなら、環境対策が万全であることが規格の要求事項の中に入っていないからです。しかし、ISO14001の認証取得した企業の多くが、認証取得したことを公表していますのでそれら公表した企業自身が社会的責任のもとで環境対策に取り組むことが期待されると考えられます。
認証取得のために必要なことは、規格の要求事項を自分の組織の仕組みや活動に当てはめ、不足しているところを追加・修正することです。例えば、環境方針に加え、環境目的・目標を作る事に加え、手順などの文書などを作成し、さらに、その文書の管理方法を工夫したり、従業員の教育訓練などの計画を作成実行します。組織が行う監査や、経営者によるレビューのやり方も決めて実行します。 認証のための現地審査は多くの場合、数名の審査員が数日かけて行います。審査として、文書審査と現地審査が行われ、ISO14001の要求事項を満足する仕組みがあるか、活動がなされているかが調べられます。審査は大抵、最初に組織の事業活動が何で、それに関わるプロセスや環境管理活動が何であるかを調べます。そして最後に、審査活動を通じて見つけられた内容の確認をして審査は終わります。重要な点について要求事項と実際の点について異なる場合、認証取得は困難です。異なる点がない場合や、短期間で修正可能な問題のみであればそれを修正した場合に認証を取得することが出来ます。
環境対策の効果についてはなかなか見えづらいと考えられます。例えば、一度汚染された水域は汚れた物質が水底堆積する可能性がありますので、水の水質を良くするだけでは環境改善の効果は数値上には現れにくいのです。また、地球温暖化対策のように活動と活動による効果に関して評価が明確でないものもあります。だからといって、環境保全に対する活動をおろそかにすると被害を拡大させたり、新たな被害を生むかもしれません。その意味でISO14001は関係者全体に環境保全の意義を常に訴えかける効果を果たしていることは評価できると考えられます。
ISO14001は1996年に発行され、その後、多くの企業などの組織が認証を取得しました。認証を取得した組織全体にわたるデータはありませんがISO14001の認証を取得した組織の環境報告書などの情報を見る限り、ISO14001の認証を取得した企業は環境管理に関する活動を維持・改善しさらに努力を続けていると考えられています。
ISOでは環境マネジメントシステムを中心として、さらに有効に機能させるための規格を作成しています。さらに有効に機能させる規格はISO14000シリーズと呼び、環境監査、環境ラベル、環境パフォーマンス評価、ライフサイクルアセスメントなどの規格をふくんでおります。この仲にはISO14004という環境マネジメントシステムの構築の参考になる規格もあります。しかし、このISO14004は監査のさいに基準として使うものではありません。
ISO14001がマネジメントシステムについての要求事項をもつ一方で具体的な数値などによる管理基準を示していない理由は、①環境への排出物やその量の環境への影響が各国で異なっている。②数値上での相対的な(前より良くするような)改善を求めた場合には、もうすでに環境への配慮する対策を取ってきた、いわば環境管理に対して優良な組織の方が規格の要求事項を満たす負担を考慮した結果です。
地球温暖化の問題など、地球環境問題といわれるものは国境を越え、地球規模での対応が必要なものが多く、国際的な環境対策を行う必要があります。国際的な環境対策について「国際条約や、国内法規制が整備されるのを待つのではなく、企業などの組織が自主的に対応すべきである」との声が国際的に高まり、国際標準機関であるISOの中で対応の検討が進められ結果としてISO14001などのISO14000シリーズの規格が出てきたのです。
ISO14001の認証を取得した企業などの組織は、その組織が作った「環境方針」のもとで、ISO14001に規定に合致する仕組みを使って活動を行っています。多くの組織では毎年、環境目的・目標の見直しなど、環境マネジメントシステムの改善を行っています。ちなみに、ISO14001の規定によって、その組織の「環境方針」は組織外の人にも入手することが出来ることになっております。